フグ毒は食物連鎖で蓄積される!なぜフグは自身の毒でやられないのか?

フグ毒は食物連鎖で蓄積される!なぜフグは自身の毒でやられないのか?

フグとは

フグ(河豚)とは、フグ目フグ科に属する魚のことです。

生息地は世界の熱帯から温帯に至るまでで、汽水・淡水にまで適応したものもいます。体型は丸みを帯びており、鰓孔は1本のスリット状を形成し胸鰭の前方に位置しています。

歯(顎)は上下に2本ずつあり、これが融合した強靭な計4本の歯を持ちます。食性は肉食性で甲殻類や貝類、ヒトデなどの硬いものを強靭な歯で砕いて食べます。太公望の間では食えないうえに歯が危険ということもあって非常に厄介な存在として有名。

胃の腹面にある膨張嚢に空気や水を吸い込んで体積を2倍以上に膨らませ、威嚇することもできます。

フグの最たる特徴は肉・内蔵・卵巣などに猛毒のテトロドトキシンを蓄積する種がいることです。

食物連鎖によって蓄積される

フグ毒であるテトロドトキシンには古くから

「フグ自身がフグ毒を作っている」とする内因説

「餌など外部から毒を取り込んで蓄積したもの」とする外因説

がありましたが、養殖フグの大半が無毒化されていることから内因説は否定されました。

さらにフグを卵の段階から養殖し人間が与えた餌のみで飼育すると無毒化され、その無毒養殖フグにフグ毒を混ぜた餌を与えると有毒化したことからどうやら「フグ毒は餌から取り込んでいる」とする外因説が有力になり始めました。

これらのことからフグ毒が広大な海のどこに由来するものなのか研究が始まると、犯人は海洋に大量に生息している細菌-食中毒菌でも有名なビブリオ属であることが判明しました。

好塩菌の名でも知られるビブリオ属は名前の通り塩が大好きな細菌。主に海水中に生息しており、種の中にはテトロドトキシンを産生するものもいます。

こいつが付着した泥から有機物を濾して食べる底生性動物は結果的にテトロドトキシンも一緒に食べているようなもの。1匹1匹の毒性は非常に低いものですが、年月が経ち個体が成熟するにつれて体内のテトロドトキシン量も増大します。

そういったテトロドトキシンを蓄積したヒトデや貝などの底生性動物をフグが食べることで次はフグの体内に多量のテトロドトキシンが蓄積されることに。

このようにして食物連鎖による生物濃縮によってフグが有毒化されることが判明しました。

フグは自身の毒でやられないのか

テトロドトキシンは沖縄戦で自決用に用いた青酸カリの1000倍以上もの毒力を持つ、自然界でも最強の部類に入る猛毒。これを体内に持つフグは自身の毒でやられることはないのでしょうか?

さて、その前にテトロドトキシンがどのように体に作用するのかちょっと見てみましょう。

テトロドトキシンは自然界に存在する天然毒で、口にすると全身の完全麻痺が現れ、やがて呼吸困難に陥ります。このことから神経系に作用することは想像できますが、その標的分子は神経細胞や筋細胞などの細胞膜に高密度で存在するNaチャンネル

生物の神経細胞は通常は神経内が-(マイナス)、神経外が+(プラス)の状態になっていますが、何らかの刺激で興奮すると細胞膜上のNaチャンネルが開き細胞外から大量のNa+が細胞内に流入します。

すると、細胞内外の電位差が逆転し電気信号として伝達され神経や筋肉が活動を始めます。

テトロドトキシンはこのNaチャンネルと結合することでNaチャンネルの開口をブロックします。するとNa+が細胞膜に流入できずに電位差が逆転しないので神経や筋肉が活動を停止します。

テトロドトキシンは神経系をブロックすることで生物全般に対して極めて効果的な毒力を実現しているのです。

では、どうやってフグはテトロドトキシンを無効化しているのか?

実はナトリウムチャンネル自体の存在は生物界全般で確認されているものの、その構造は生物によってちょっとずつ異なります。フグの持つナトリウムチャンネルはちょっと特殊でテトロドトキシンによるブロックがされにくいのです。

また、フグはその筋肉中にテトロドトキシン結合タンパク質も存在していることがわかってきました。このタンパク質がテトロドトキシンと結合することで構造を変化させ、作用を抑えているのだろうと推測されています。

とは言っても、全か無かの法則のようにテトロドトキシンがフグにとって完全に安全なものかと言えば答えはNoです。

条件次第ではテトロドトキシンでやられる個体もいますし人為的にキャパを超える量を投与すると同様にやられてしまいます。

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