糞尿にたかるハエはどうして病気にならないのか?

糞尿にたかるハエはどうして病気にならないのか?

うんちとハエの奇妙な関係

うんちの80%が水分、残りの20%は固形成分で固形成分の約30%程度は生きた腸内細菌です。

うんちの重量は150g~200g/日と言われていますので、その内9g~12g/日は腸内細菌という計算になります。さらに1gにつき1兆個もの腸内細菌が潜んでいますので、私達は1日に9兆個~12兆個もの腸内細菌を排泄しているのです。

ヒトの細胞が約60兆個と言われているので、腸内細菌がどれだけ多いかがわかることでしょう。

排泄された腸内細菌の中には悪性大腸菌やピロリ菌、ブドウ球菌などの悪玉菌が含まれていますが、反対にビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌も含まれています。両者の繁殖状態が私達のお腹の健康を決めるといっても過言ではありません。

なにはともあれうんちは細菌の塊で、とても汚いものなのです。

事実、糞尿の処理技術が未発達だった中世やそれ以前では糞尿を媒介にした感染症で命を落とす人も珍しくありませんでした。

しかし、捨てる神あれば拾う神あり。

むしろ糞尿を餌にして生きるものたちもいます。その中でも代表的なのがハエでしょう。

糞尿は微生物によって発酵された有機物の塊であり小さな生き物にとっては食物備蓄庫みたいなものですので、ハエたちはそれを掠めとろうとたかってくるのです。食事と連動して産卵することで、幼虫にも餌をわけることができます。

では、細菌の塊である糞尿にたかってハエたちはどうして病気にかからないのでしょうか?

「免疫があるから?」うーん、ちょっと違います笑

免疫は

侵入してきた非自己をいち早く感知し、それを排除する自然免疫

感染した病原体を特異的に識別し、それを記憶することで同じ病原体に出会ったときにスピーディにそして効率的に排除する獲得免疫

とにわけることができますが、この内ハエを始めとした昆虫たちは自然免疫しか持ちません。要するにハエは免疫力が低いのです。

ではどうやって病原体から身を守っているのでしょうか?

病原体から身を守るハエ

腐敗した果物や腐肉を餌し日々大量の細菌を摂取しているハエが病気にかからない理由は抗菌ペプチドや活性酸素を用いてさっ菌を行い、身体を保護しているためだと考えられています。

抗菌ペプチドは名前の通り「菌に抗(あらが)うペプチド」のことで、アミノ酸が約十~数十個連なって形成されるタンパク質のことです。

抗生物質が細菌のDNA合成を特異的に阻害したり、タンパク質合成を阻害したりするのに比べて、抗菌ペプチドは細菌の細胞膜を攻撃することでさっ菌効果を発揮します。

抗菌ペプチドはさっ菌範囲も広く耐性菌が生まれにくいという理由から産業にも利用できるのはないかと目されている物質で、ハエはこの最先端さっ菌システムを用いることで身体を保護しているのです。

また活性酸素とは「物質を酸化させる能力が非常に強い酸素」のことを指します。

あの硬い金属も酸化=錆びてボロボロになってしまうと使い物にならなくなるように私達の身体を構成するタンパク質も酸化してボロボロになるとその機能を失ってしまいます。

酸素は非常に強力な「毒」なのです。

その中でもとりわけ強力な活性酸素を細菌を撃退するために用いることで身体を保護しているのです。

以上の理由により、ハエは糞尿にたかっても病気にかかることがないのです。

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