海の水を飲めないクジラはどこから水を調達しているのか?

海の水を飲めないクジラはどこから水を調達しているのか?

クジラ。言わずと知れた世界最大の動物ですね。

暖かい海を中心に世界中の海に広く分布しており、近年では東京湾でもクジラが迷い込んでニュースになりました。

さて、彼らは海にこそ住んでいますが魚類ではありません。遠い昔に陸にあがった動物が再び水中に戻ったのが祖先だと言われています。

事実、彼らのDNAを辿ってみるとカバと近縁種であることが伺えます。また、生態も陸上の哺乳動物と酷似しています。

そう、彼らは海に生きる哺乳類なのです。

全ての生物は水がないと生きていけません。

老廃物の排出、浸透圧の維持、化学反応、蒸発など理由はもろもろありますが、常に水を排出していますので排出分を補給をしなくてはいけないからです。

ここでクジラの生息地を考えてみましょう。

もちろん、ですよね。

海の濃度は約3%。これはクジラを含めた一般的な動物の体液濃度約1%よりも高いです。

半透膜を隔てて濃度の異なる溶液を混ぜ合わせたら、低張液から高張液へと溶媒だけが移動するように、クジラも海水との間で溶媒のやりとりをしています。

海水濃度3%、クジラの体液濃度1%ということは1%→3%へと水が移動していることになります。

そう、クジラの体からは常に水分が失われているのです。

海産魚類であれば塩類細胞(鰓にあります)の力を借りて海水から真水を効率的に入手できるのですが、クジラは魚類ではないので鰓がなく海水を真水の入手源として利用することはできません。

では、クジラはどうやって真水を入手しているのでしょうか?

今回は海の中で生きながら常に水不足と隣あわせの生活を強いられているクジラの水の入手方法について見ていきましょう。

他の動物では?

まずはクジラではなく、同じように水のまったくない過酷なフィールドで生きる動物たちについて見ていきます。

地球上でもっとも水がない場所といったら、そう砂漠です。

砂漠で生きる哺乳類、ネコやラットはどうやって水を入手しているのでしょうか?

実はその秘密は腎臓にあります。

腎臓は体内の老廃物を血液から濾して尿を作る器官なのですが、砂漠に生きる哺乳類たちの腎臓はよく発達しており、高張尿を作ることに長けているのです。

つまり、腎臓の濃縮効率がずば抜けて高く、少量の水の中に多量の塩類を混ぜ込むことができるということです。

これによって岩塩を含んだ少量の水しか摂取できないような過酷な環境下でも、その多くを真水へと変換することができるのです。

これが砂漠に生きる哺乳類の真水入手方法です。

では、海産性の哺乳類も同様でしょうか?

一部についてはYESと言えるでしょう。

バンドウイルカやオットセイは真水の入手方法の約70%を程度を海水からの補給に依存していることが判明しています。

「だったら、クジラでも同じように海水から真水を作っているのでは?」と思われる方もいらっしゃかるかもしれませんが、間違いです。

ネコやラットはもとよりイルカもクジラに比べれば小型の哺乳類です(種によりますが)。このサイズであれば海水などの高張液からでも腎臓の頑張り次第で生命維持に必要な真水は精製できます。

しかし、クジラのサイズはそれら小型・中型哺乳類とは比べものになりません。

もしもクジラが必要とする真水を海水から得ているのだとしたら桁違いに多くの海水の飲みこみ、その海水を腎臓で濾すという作業が必要になってきます。

ですがこれでは腎臓に対する負荷が大きく、エネルギーも必要となってくるため割に合いません。

なので、クジラは真水の入手方法を海水に依存できません。

では、なおさらどうやって真水を入手しているのか不思議に感じますよね。

クジラは海の中でどうやって生きているのか?

結論から先に書くとクジラは『餌に含まれる水』と『代謝水』から水を得ています。

詳しく見ていきましょう。

クジラの餌はオキアミです(他に魚を食べる時もあります)。海産魚の体液濃度は哺乳類のそれと比べてもさほど違いはありません。事実、オキアミの体液濃度は約1.3%程度だとされています。

このことからもわざわざ3%の海水を飲むよりもオキアミに含まれる1.3%の体液を濾した方が腎臓に対する負荷は少なくて済むことがわかります。

また、餌(タンパク質と脂肪)が体の中で分解してエネルギーになったときに発生する水も利用されています。このように代謝に関わってできた水を代謝水と言います。

この『餌に含まれる水』『代謝水』がクジラの真水の入手方法だと言われています。

しかし、実はこれだけではクジラの水事情は克服できません。海水というフィールドもミックスして考えることで初めてクジラは海の中で生きれるのです。

動物の体内から失われる水の大半は「尿」と「汗と呼気による蒸発」です。尿はもちろんしないといけませんが、海の中にいるクジラは発汗の必要もなければ湿気も多いため呼吸しても水分が失われることはありません。

「汗と呼気による蒸発」は排泄水分量の約半分近くを占めていますので、これをカットできるのは大きなアドバンテージです。

ということで、以上の

水の入手方法:『餌』『代謝水』

海水というフィールド:『汗と呼気による蒸発をカット→真水への依存度自体を抑える』

ことにより、クジラは海の中で生きていけるというわけです。

   関連記事はこちらから

http://whattodo-onlife.com/2019/01/23/post-1964/

http://whattodo-onlife.com/2019/01/17/post-1937/

http://whattodo-onlife.com/2019/01/11/post-1914/

http://whattodo-onlife.com/2018/10/23/post-764/

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする