阿寒湖のアート、マリモ!どんな生き物?なんで凍らないの?

阿寒湖のアート、マリモ!どんな生き物?なんで凍らないの?

マリモってどんな生き物?

分類 アオミソウ科マリモ属
学名 Aegagropila linnaei
英名 Marimo
原産地 日本の他、ロシアや北アメリカなどの北半球
絶滅危惧種 絶滅危惧Ⅰ類

マリモは日本を含めた高緯度地方を中心に分布し、ロシアや北アメリカなどで広く分布しています。

北半球に生息するマリモの起源を辿ってみたところ、どうやら日本のマリモに行き着くようで渡り鳥によって各地に散布された結果、今日のような広分布になったものだと考えられています。

中でも球状の大きなマリモが群生して確認できるのは世界でも阿寒湖だけで、阿寒湖だけが球状になる要因を全て揃えているためだとされています。

ただ、マリモの生長スピードはとても遅く6cmの野球ボール大になるのに150年-200年程度かかると言われています。

最近、天然記念物以外のマリモをばらばらにして培養液中でコロコロ転がすことで人工的に球状のマリモを作ることができるようになりました。

人工モノのマリモは解剖してみると中心から放射状に規則正しく配列する糸球体が確認できず、複雑に絡み合っているので簡単に判別できます。

マリモはマリモ「ズ」だった!?

マリモと言えば「緑色の球状の塊」を思い浮かべるかもしれませんが、あの塊は実は1匹のマリモではないことを知っていたでしょうか?

マリモの正体は太さ0.05mm-1mm、長さ0.5-3.5mm程度の「糸状の藻」です。

ふだんは岩肌や湖底に平らになって過ごしていますが、これが何らかの原因で剥がれ絡みあうことで球状マリモとなります。

球状マリモは成長して大きくなるとだんだんと内部が空洞になっていきます。

そして自重に耐え切れなくなったマリモは崩壊して、ばらばらの状態へと戻ります。しかし、ばらばらになったからと言ってしんでしまったわけではありません。

むしろ、です。

肥大化したマリモの内側は日光が届かず、内側のマリモは成長できません。ですので、一旦崩壊することで内側のマリモにも光合成のチャンスを与えことことができるようにしているのです。

こうして成長した糸状マリモがまた球状マリモを作っていくことで、どんどんと大きなマリモになっていくのです。

崩壊と成長というサイクルを繰り返す中で生き延びてきたわけですね。

(参照:守ろう!地球のいきもの マリモってどんな生き物?)

マリモはなぜ寒さに強いのか?

ロシアや北アメリカを住処にしていることからも推測できる通り、マリモはとても寒さに強いです。

実験によると-20℃で丸1日保存しても、細胞のしめつはほとんど確認できなかったと言われています。

-20℃と言うと北海道の最低気温にも匹敵しますが、なぜマリモはこんなにも寒さに強いのでしょうか?見ていきましょう(以下、寒さに強い=耐凍性と呼称します)

私たちヒトが-20℃の冷凍庫に丸1日放り出されると凍えてしまうように、植物も寒さには弱いです。

特に水生藻類の耐凍性は陸上植物と比べても低く、その中でもアオミドロやフラスモのような淡水産のものは海藻の中でも低く、凍結状態で生存できるものはほとんどないと考えられていました。

事実、マリモの近縁種であるシオグサ科のシオグサは-8℃、2時間の凍結で完全に“凍し”していることが確認されています。

このように考えるとマリモの耐凍性の高さは目を見張るものがあり、-20℃の耐凍性は越冬樹木と肩を並べるほどの値を誇っています。

なぜでしょう?

さて、マリモの耐凍性を見る前に陸上植物における一般的な耐凍性の獲得について見ていきましょう。

氷点下になる冬を越す植物は、実は氷のできる位置を操作することで耐凍性を獲得しています。

細胞内に氷の結晶ができると細胞内のさまざまな小器官(核、葉緑体、液胞など)が鋭い氷の結晶で傷つき破壊されてしまい、細胞はしんでしまいます。

反して、細胞外に氷ができても細胞小器官が破壊されることはありませんので、細胞は生存できます。

冬を越える植物は細胞内に氷の結晶を形成させないために、細胞外に氷を形成させます。

細胞外に氷が形成されると、細胞内の水が脱水されます。

この現象は製氷トレーで氷を作った時に縁にある水も巻き込んで氷ができることからも確認できる身近な脱水現象の1つです。

細胞内の水を失うと溶質濃度が相対的に高まり、細胞内の水の凝固点を下げることで、氷が形成されにくくなります。

これを凝固点降下といいます。

このメカニズムを用いることで陸上植物は冬を無事に越えることができるのです。

では、マリモも同様のストラテジーをとっているのでしょうか?

答えはNOです。

植物細胞内から水が失われると原形質分離と呼ばれる、細胞壁と細胞膜が離れる顕微鏡が確認されなければならないのですが、マリモを-20℃で放置しても原形質分離は確認されなかったのです。

このことから、どうやらマリモは細胞内の溶質濃度を高めることでの耐凍性の獲得はしていないということがわかります。

むしろ、原形質分離剤として毒性が低いはずの糖の貯蔵はマリモ細胞に深刻なダメージを与えることが確認されているほどです。

では、溶質濃度を高めること以外にどうやって細胞内凍結を防いでいるのでしょうか?

……申し訳ないです。

ササッとぐぐっても全然でてきませんでした!!!!!

ただ、考察の段階ではあるものの、耐凍性の獲得の背景には原形質膜の特異性があるのではないか?と推測されているらしいです。

上記の通り、マリモは原形質分離を起こさずに細胞外凍結を起こしているので、細胞壁と原形質膜が完全に密接した状態です。

この状態だと細胞壁から氷の結晶が侵入して細胞小器官にダメージを与えるはずなのですが、それは確認されていません。ということは、細胞膜が氷の侵入に対する阻止膜として機能しているのではないか?ということで出された考察です。

その人によれば、原形質に存在するカルシウムが特に重要で、事実これを除去するような処理によってマリモ細胞の耐凍性が顕著に低下したことを確認したらしいです。

(参照:マリモの節間細胞Ⅰ)

(参照:マリモの節間細胞Ⅱ)

どちらの論文も国内論文でまた年代も1960年代とだいぶん古いです。

もしかしたら今ではマリモの耐凍性の獲得なんて世界的にもよく知られたトピックなのかも知れません。何か知ってましたらご教授願います!

ではまた!

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