血液型が異なるとなぜ輸血できないのか?血液型と輸血について考える

血液型が異なるとなぜ輸血できないのか?血液型と輸血について考える

大量の出血や交通事故などで体内から多くの血液が失われてしまった場合、輸血はとても重要な役割を果たしています。

ですが輸血で用いる血液には皆さんも知っての通り「血液型」というものがあり、AとBなど血液型が異なる者同士での輸血は行えません。

血液型が適合しない場合、免疫反応によってさまざまな副作用が生じるためです。

同血液型同士間でしか輸血が行えないので、赤十字などはいつもドナーを求めて奔走しているワケですが、どうして血液型が異なると輸血が行えないのでしょうか?

ということで、今回は輸血と血液型について書いていきたいと思います。

ABO式血液型とは

皆さんがよく「A型」「B型」「AB型」「O型」の4種類に分類する手法は、血液型の判定法として36型式もある内の1つであるABO式血液型と呼ばれる手法に準じたものです。

ABO式血液型は最も初期に発見された血液型分類法の1つであり、簡易性と臨床転用の面から発見当初から現在に至るまで使われてきた代表的な分類法です。

1900年にオーストリー出身の医学者カール・ラントシュタイナーが血清と血球に着目して研究をし始めたのが発端です。

では、実際にカールは何を根拠にして血液型の分類を行ったのでしょうか?

赤血球の抗原

私達の血液の中には、赤血球と呼ばれる酸素を運搬してくれる血球が含まれています。

赤血球はヘモグロビンと呼ばれるタンパク質を持つことで酸素との親和性を増しているので、酸素と結合しやすい性質を持っています。この性質を利用して、酸素を体の隅々まで運搬しています。

しかし、赤血球はその表面に他にも脂質や糖、タンパク質が露出しています。

この赤血球表面にあるタンパク質、脂質、糖質の鎖でしっかりと架橋された保護膜の材料で血液型が決まっています。これを「抗原」といいます。

「A型」とよばれる人の赤血球には「A抗原」と呼ばれるタンパク質が、「B型」と呼ばれる人の赤血球には「B抗原」と呼ばれるタンパク質があります。

「AB型」は「A抗原」と「B抗原」の2種類を併せ持つハイブリッド型で、逆に「O型」は「A抗原」も「B抗原」も持っていません。

(引用:テレビの達人 )

この抗原と呼ばれるタンパク質は、異物の侵入から体を守る免疫細胞と連絡を取り合うために必要な物質です。

免疫細胞は異物を認識すると積極的な攻撃を試みるのですが、赤血球を含め私達の細胞は自己の抗原をIDとして提示することで免疫細胞からの攻撃を回避しているのです。

これがいわゆる免疫応答のことで、赤血球は免疫からの攻撃を逃れるために表面に抗原タンパク質を露出しているのです。

血漿中の抗体

赤血球の表面に抗原があるのに対して、血漿中(血液の液体部分のことです)には「抗体」と呼ばれる物質があります。

免疫細胞から放たれた抗体は、いろいろな物質と結合して自己か非自己かを認識、区別します。自己であればスルーしますし、非自己であれば積極的に攻撃を開始し、体内からの排除を試みます。

この抗体は「A型」の人であれば「抗B抗体」が、「B型」であれば「抗A抗体」が血漿中に存在します。

「AB型」の人は「抗A抗体」と「抗B抗体」のどちらも持っていませんし、逆に「O型」は「抗A抗体」と「抗B抗体」の両方を持っています。

「A型」の人が「抗A抗体」を持っていたら、抗A抗体が赤血球表面のA抗原に反応して攻撃を始めてしまいます。なので、「A型」は「抗B抗体」を持つことで自己以外の赤血球を排除すると共に自己の赤血球を保護しているのですね。

この『抗体』と『抗原』の巧妙なマッチングによって、私たちの血液の中では赤血球が安心して平和に暮らせているのです。うんうん、善き哉、善き哉。

血液型が異なると輸血できないワケ

ここまで読み進められてきた慧眼な読者らの中には、どうして血液型が異なると輸血ができないか理解しておられる方もいらっしゃると思います笑 ですが、あえて説明していきましょう。私も頭悪いので!

上記でも触れましたが、抗体と呼ばれる物質は異物から体を守る免疫応答の主力武器として機能しています。抗体は異物表面の抗原を認識することで自己と非自己を区別しており、赤血球は自分の抗体と反応しないような抗原を提示することで免疫応答から逃れています。

「A型」であれば「A抗原」と「抗B抗体」という風に、自分自身を攻撃しないカラクリを作っているワケですね。素晴らしい!!

ですが、ここに「B型」の血液が輸血されるとどうなるでしょう?

「B型」には「B抗原」と「抗A抗体」が含まれていますので、輸血した瞬間に「A抗原と抗A抗体」が「B抗原と抗B抗体」が遭遇してしまい、非自己として積極的な攻撃を開始します。

こうなると血液中は大戦争状態です。

それぞれの抗体達はそれぞれの抗原を非自己=敵だと認識し、赤血球を破壊し始めるのです。

破壊された赤血球は散り散りになるのですが、この物質は血液内で複数の免疫応答と化学反応を引き起こします。この結果、異なった血液型を受け取った人間は痛みや寒気を感じ、重症化すれば命を落とすこともあります。

これが異なった血液型を輸血してはいけない理由なのです。

いままでの話を表にまとめると、こんな感じです。

血液型 血液型抗原 血液型抗体 攻撃対象となる抗原
A A抗原 抗B抗体 B抗原
B B抗原 抗A抗体 A抗原
AB A抗原、B抗原 なし なし
O なし 抗A抗体、抗B抗体 A抗原、B抗原

O型は事情が複雑

上記の表をよくよく見ると、あることに気づきませんか?

「O型」の人だけはちょっと事情が特殊なのです。

なぜなら「O型」はどちらの抗原も持っていらず、どちらの抗体も持っているからです。

「O型」は抗原を持っていませんので、「A型」「B型」「AB型」のどの血液型からでも輸血をしてもらえます。抗原がないので、抗体の攻撃対象として認識されないためです。

反対に「O型」は「O型以外」のどの血液型にも輸血できません。抗A抗体と抗B抗体の両方の抗体を持っているためです。これでは、A抗原にもB抗原にも反応してしまいます。

ちょっと「O型」の事情は複雑なんですね。

とういうことで、今回は血液型と輸血について書いていきましたが、どうでしたでしょうか?

緊急時には血液型をいちいち調べる時間がないこともありますので、保険証や免許証などに自分の血液型を書いておくといざという時のためになるかもしれませんね。

ではまた!

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