コアラよ、なぜおまえは毒の葉を食べる?1日に22時間も眠る謎

コアラよ、なぜおまえは毒の葉を食べる?1日に22時間も眠る謎

オーストラリアや動物園でも人気のあるコアラ。

コアラと言えば、いつも木の上でのんびりしてる姿がとても特徴的です。

食っちゃ寝、食っちゃ寝…いつものんびりとユーカリの葉をもぐもぐしています。

ですが、ユーカリは毒を持ち、また大変不味いことが知られています。

なぜ毒を食べても平気なのか?なぜ毒を食べなくてはいけないのか?

今回は一見怠惰に見えるコアラの食生活について書いていきたいと思います。

コアラについて

学名:Phascolarctos cinereus

生息地:オーストラリア東部

体長:65-82cm

体重:4-14kg

主食:ユーカリ

コアラは有袋類双前歯目コアラ科コアラ属に分類される有袋類で、現存する最後のコアラ科コアラ属です。

有袋類ということで未熟な子供を産んだ後は袋の中で育てるという点ではカンガルーのお仲間でもあります。日本では別名フクログマ(袋熊)と呼ばれることもあります。

基本的に生活のほとんどの時間を樹上で過ごし、いつも寝ています。特定の巣は持ちません。

単独性で夜行性、また大人しい性格でのんびりと暮らしています。

オーストラリア東部の熱帯やユーカリ林に生息していますが、ヨーロッパ人が流入してきたことで、生息数は大幅に減少しました。

主食はおなじみユーカリの葉ですが、たまにアカシアの葉やティーツリーの葉を食べることもあります。

ユーカリとユーカリの間を移動する時はごく短い距離であれば飛び移ることもできますが、近くに他にユーカリの木がない時は歩いて移動します。歩くときは四足歩行です。

ユーカリを主食としたことでこんな生活に…

コアラの主食として有名なユーカリの葉ですが、実はとても危険な食べ物なのです。

ユーカリの葉はとても硬く、栄養もほとんど含まれていません。

さらには苦味成分のタンニンを含んでおりとても不味いです。

極めつけは青酸と油脂を大量に含んでいることです。

青酸はシアン化水素のことで、動物ミトコンドリアの酵素と結合することで、エネルギーであるATPの合成阻害を引き起こし、細胞内呼吸を阻害する効果を持ちます。

非常に毒性が強ことでも知られ、さっ虫剤や毒ガス兵器としても使用されます。

消化不良を起こす油脂も含みますので、青酸がじっくりと捕食者を苦しめます。

このようにユーカリは本来動物が食べれるシロモノではありません。事実、ユーカリの葉を食べようとする猛者はコアラを除いていないのです。

こんな危険な物質を口に運んで、なぜコアラは生きていけるのでしょう?

それを考えるためにはコアラのユニークな生活を振り返っていかなくてはなりません。

驚異の睡眠時間

動物の睡眠時間は長短さまざまで、種類毎にはっきりと決まっています。

一般的に自然界で弱い立場にある草食動物は睡眠時間が長く、反対に強い立場にある肉食動物は長くなる傾向があります。

事実、ウマやキリンは睡眠時間が3-4時間なのに対して、ライオンやトラは睡眠時間が14-16時間もあります。

さて、コアラですがなんと1日に22時間も眠っています。

ナマケモノでも1日に20時間で、事実上睡眠時間ナンバーワンの動物です。

なぜこんなにも眠るのか?それはユーカリの葉を主食とすることと密接な関係があります。

上記でも触れましたが、ユーカリは毒性のある葉で、栄養価も低いです。

これを消化するためにコアラは長時間もの時間を睡眠に充てる必要があるのです。

栄養価が低く、また解毒にもエネルギーを消費するので活発に動いていてはすぐに燃料切れを起こします。そのために睡眠をすることでエネルギーを節約しているのです。

また、睡眠中は消化器官の動きが優位に働ので盲腸や肝臓での解毒を促進できます。

これがコアラの睡眠時間の長さの理由です。ただただ、食っちゃ寝しているのではなく、生存をかけた勝負をしているんですね。

盲腸が長い!

またユーカリの葉を消化するために犠牲にしたのは時間だけではありません。

コアラはユーカリの葉を効率よく消化し、解毒と栄養吸収を最優先するために進化を遂げました。

それが盲腸の巨大化です。

草食動物であるウマでも盲腸の長さは約1m、同じく草食動物でもあるウシの盲腸の長さは0.8mです。

コアラは盲腸の長さが2mもあります。

そして単に巨大化させただけでなく、盲腸内にユーカリの葉を分解できる微生物を飼育しています。

コアラが口にしたユーカリの葉は巨大な盲腸内で微生物によってゆっくりと発酵され、また有毒物質を分解することで消化されていきます。

その時間、なんと100時間!

ヒトの消化時間は最大でも24時間ということを考えれば、驚きの消化時間であることが伺えます。

このようにコアラはユーカリの葉を安全に食べるために、様々なものを犠牲にしてきたのです。

では、コアラはユーカリをいつごろから食べ始めるのでしょう?

まさか赤ちゃんの頃からパクパクと口にしているわけではないでしょう笑

食糞行動

コアラはカンガルーと同じく有袋類に分類される動物です。

もちろん、幼体は袋の中でお母さんに守られながら生活するのですが、この袋の中ではユーカリの葉を食べることのできるように英才教育が施されています。

それが、食糞です。

母コアラが子コアラに自分の糞を食べさせるのです。

ヒトから見れば一見異常に見えるこの行為ですが、とっても意味のある行為です。これがないと子コアラは成熟してもユーカリの葉を食べれずに命を落としてしまうでしょう。

この糞は「パップ」とよばれるもので、子コアラがお乳から離乳する時期に重要な役割をは大しています。

糞なので母コアラの食べたユーカリの葉が含まれているのはもちろん、その毒を分解する微生物もセットで含まれています。

子コアラは体内に微生物を飼っていない状態ですので、いきなりユーカリの葉を食べたら毒にやられてしまいます。

そこである程度消化されたユーカリの葉と毒を分解する微生物が含まれる糞を食べさせることで腸内細菌の定着を図っているのです。

これはヒトでも同じです。母乳に含まれる腸内細菌が子供の腸内に住み着くことで離乳を果たすことができているのです。

このように袋内で行われる食糞行動はユーカリの葉を克服するために必要な行為なのです。

なぜそこまでしてユーカリの葉を食べるのか?

では、なぜそこまでしてユーカリの葉を食べるのでしょう?

ユーカリの葉を食べることはデメリットばかりでコアラにとっては何一つとしていいことなんてなさそうに思えます。

しかし、ユーカリの葉を主食とすることはコアラにとってとってもメリットのあることなのです。

ここまで書いてきた通り、ユーカリの葉は有毒で他に食べる動物や昆虫は存在しません。

逆説的に考えれば、コアラしかユーカリの葉を食べれないのです。

これは食料争奪戦で大きな意味を持ちます。そもそも他の動物と食料を巡って争う必要がないんですから。

どの動物も捕食はとても大きなリスクを伴います。

ウマだって草を食べている間にいきなり背後から奇襲を受けるかもしれませんし、ライオンだってヌーの突進にやられるかもしれません。

ですが、食料を得なくてはどの道しんじゃうのでリスクがあるとわかりながらも食料を取るしかありません。

この点、ヒトも同じです。ブラック体質が蔓延る会社でも子や妻を養うためには働き続けなくてはいけませんからね。

ですが、コアラは安心です。

歩くこともなければ動くこともない木の葉をただむしゃむしゃ食べるだけでいいですし、その木の葉は他の動物が取ることもないので争奪戦にもならないのですから。

この「食料争奪戦回避」のためにコアラはユーカリの葉を食べることにしたのです。

これが賢い選択かどうかはわかりませんが、今度からコアラが寝てても起こさないようにしてあげましょうね。

ということで、今回はユーカリの葉を食べるコアラについて見ていきましたが、どうでしたでしょうか?

食糧を巡っての争いは種の存続にも関わるとっても大きなイベントです。

これを回避できるのはとっても大きなアドバンテージですので、コアラはユーカリの葉を食べていることがわかってくだされば幸いです。

ではまた!

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