赤ちゃんはどうして息継ぎをしないで母乳を飲んでいられるの?

赤ちゃんはどうして息継ぎをしないで母乳を飲んでいられるの?

ヒトの赤ちゃんは出生後、しばらくは哺乳によって栄養を補給します。

母乳をちゅーちゅーを吸っている姿はとても可愛らしいものがありますよね。


ですが、赤ちゃんの哺乳を見て何か不思議に思うことはないでしょうか?

(人様の赤ん坊を勝手に捕まえておいてナンですが笑)

この動画からでもわかることなのですが、赤ちゃんは哺乳をしている間はずっと哺乳瓶から口を離しません。

これは大人の私達からすればいささか異常な光景です。

皆さんがストローで飲み物を飲む時、1分も2分もずっと吸引したままでいられるでしょうか?

恐らく、ほとんどの人は「No」と答えるでしょう。

飲み物を飲んでいる時は呼吸ができないので、苦しくなるに決まってますよね。

一旦口を離して息を整えないと、連続して飲むことは不可能です。

「吸う」という行為は酸素消費量の多い運動なので、なおさらです。

では、なぜ赤ちゃんは息継ぎしないまま哺乳できるのでしょうか?

ということで、今回は赤ちゃんの哺乳について書いていきたいと思います。

赤ちゃんの哺乳運動3原則

哺乳運動は吸着、吸啜、嚥下の3つの行動から成り立つことが知られています。

吸着

上口唇と下口唇をともにに開くことで口唇を大きく開きます。

口唇と舌とで乳首と乳頭部を深く捕らえて、密着させます。

唇を吸盤として使うことで吸啜した母乳を漏れさせないようにしているのです。

吸啜

舌を波のようにうねらせて、乳首を圧搾、吸引して母乳をしぼるように引き出します(詳細、後述)。

このように筋肉をうねらせる行為を蠕動運動と呼びます。

この蠕動運動が今回のキーワードです。

嚥下

搾り出した母乳を食道を移送することです。いわゆる「ごっくん」ですね。

赤ちゃんは特有の嚥下行動をすることが昔から知られています。

哺乳行動はこの3要素の内、1つでも欠けていたら成立し得ないとても高度な運動です。

キチンと吸啜ができてもしっかりと吸着していなければ口の端からこぼれてしまいますし、吸啜ができても嚥下が苦手だとむせたりして、母親をあせらせたりします。

ですが、この特有の哺乳行動は親の預かり知らぬところで終わりを告げています。

いつの間にか乳首に舌を這わせないようになって、いつの間にかストローで飲み物を飲めるようになって、いつの間にか息を整えながらでないと飲み物を飲み続けることはできないと悟ります。

このように明らかな変化に親が気付くのは出生後、だいぶん経ってからなのですが、赤ちゃんのこの特有の哺乳行動は生後3カ月前後で消失することが知られています。

では、具体的に何が消失することによって哺乳行動が終わりを告げるのか。

それが、蠕動運動です。

蠕動運動と呼吸

蠕動運動とは筋肉が伝播性の収縮波を生み出す運動のことを指します。

ありていに言ってしまえば筋肉が波打つようにうごめくことで生じる運動のことです。

身近な例で言えば、食物を運搬する消化管の動きや地をうごめくミミズや蛆虫の動きが蠕動運動の代表例と言えるでしょう。

あの“うにょうにょ”“もぞもぞ”とした動きのことを蠕動運動と呼んでいます。

赤ちゃんは哺乳行動の吸啜時にこの蠕動運動を遺憾なく発揮しています。

舌を微細に震わせて波打たせることで蠕動運動を可能にしているのです。

蠕動運動によって口腔後方部に陰圧が生じることで、母乳が射出される仕組みになっています。

これを嚥下することで赤ちゃん特有の哺乳行動が成り立っています。

私達大人が飲み物を飲むとき

では、私達が飲み物を飲む時はどうでしょうか?

舌を小刻みに震わせて飲んでいますか?

そんなことはないはずです。きっと、吸引をしながら飲んでいます。

この『息を吸うようにして飲む行為』は、嚥下と呼吸運動が協調して起きています。

つまり、息を吸う行為の代償として嚥下を可能にしています。

本来であれば息を吸うための呼吸運動を活用して飲み物を嚥下しているわけですね。

これが大人の「ごっくん」です。

赤ちゃんが母乳を飲むとき

では、赤ちゃんはどうでしょうか?

吸啜でも触れた通り、赤ちゃんは呼吸運動を活用して母乳を飲んでいるわけではありません。

舌を蠕動運動させることで、口腔後方部を陰圧にすることで母乳の射出と嚥下を可能にしています。

呼吸運動は一切関与していないのです。

これが赤ちゃんの「ごっくん」です。

呼吸についてちょっとおさらい

呼吸は呼吸筋と横隔膜の強調運動によって行われます(肺自体は自立的な運動機能を有していません)。

(主に)横隔膜が収縮することで胸腔内が陰圧になれば空気が勝手に流入してきますし、逆に弛緩することで胸腔内が陽圧になれば空気が勝手に出ていきます。

それぞれを吸気、呼気と呼び、合わせて呼吸と言います。

私達ヒトの身体は呼吸をする際、『息を吸う行為』と『息を吐く行為』を同時に行うことはできません。

気圧差を利用した一方通行的な換気システムであり、また吸気と呼気の通り道が同じ道になっているので、併用することはできないのです。

つまり

息を吸うときは息を吸うことしかできませんし

息を吐くときは息を吐くことしかできません

さて、私達大人が飲み物を飲むときはどうやって嚥下しているんでしたっけ?

そう、呼吸運動、それも吸気の力を利用して飲んでいるんでしたよね。

この時、息を吐く行為はできません。

呼気の力を利用して嚥下しているので、吸気をすることはできないのです。つまり、嚥下と呼吸を同時にできないような仕組みになっているのです。

大人になった今なら「そりゃそうやろ。何言ってんねんこいつ」となりますが、意外と驚くべきことなのです。

赤ちゃんのときは嚥下しながら呼吸もできてたんですから。

対して、赤ちゃんが飲みものを飲むときはどうやって吸引と嚥下をしているんでしたっけ?

そう、舌の蠕動運動ですよね。

舌の蠕動運動によって、口腔内に陰圧を生じさせることで母乳を飲んでいます。

呼吸運動は関与していません。

呼吸運動と嚥下が全く別の、独立した系で動いているのです。

嚥下によって呼吸運動が妨げられることはありませんので、母乳を飲みながらも呼吸をすることが彼らにはできるのです。

これが、赤ちゃんが母乳をずっと飲んでいられるワケです。

ということで、今回は赤ちゃんの嚥下と呼吸について書いていきましたが、どうでしたでしょうか?

赤ちゃんは呼吸と嚥下ができる唯一無二の時期でもあるのです。

正直、呼吸と嚥下が同時にできる方が便利なのですが、どこに置いてしまったんでしょうかね?

ではまた!

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