ペンギンはなぜ集まるのか?おしくらまんじゅうの合理性を考える!

ペンギンはなぜ集まるのか?おしくらまんじゅうの合理性を考える!

ベルクマンの法則とは

ベルクマンの法則とは、Wikiによると

「恒温動物においては、同じ種でも寒冷な地域に生息するものほど体重が大きく、近縁な種間では大型の種ほど寒冷な地域に生息する」

引用:Wikipedia ベルクマンの法則

と定義されており、ドイツの生物学者であるベルクマンが1847年に提唱した法則です。

ベルクマンの法則というワードは知らなくても「寒い地域の生物は大きくなりやすい」という法則自体は知っている人が多いのではないでしょうか?

ベルクマンの法則の例によく挙げられるのがクマです。

日本に生息しているツキノワグマの体長は130-200cmなのに対して、北極圏に生息しているホッキョクグマは200-300cmにも達します。

同じ「クマ」でも寒い地域ほど大型化しているのがわかるかと思います。

では、なぜ寒い地域ほど大型化するのでしょうか?

これは熱産生と放熱、つまり体温保持との関わりで説明できることが知られています。

さて、皆さんは自分の体温がどこから来てどこから逃げていくのか考えたことがあるでしょうか?

例えば運動をしている時は体がポカポカしてきますよね?

これは筋肉の活動が熱を産生しているからです。

対して、放熱に関しては脂肪やエタノールを思い浮かべてみるとわかりやすいかも知れません。

脂肪のある人間(肥満体型)は寒い中でも凍える素振りは見せません。

これは皮膚の表面からの放熱を脂肪で遮断しているからです。

エタノールの場合は、触るとひんやり感じます。

エタノールが気化する際に気化熱として皮膚の表面から熱を奪っているからです。

つまり、熱の産生とその放熱はそれぞれ

熱の産生(筋肉):体の内側、つまり体積部分

熱の放出(皮膚):体の外側、つまり表面積部分

が担っていることがわかります。

ここでどちらかのバランスが崩れると容易に体温保持のシステムは崩壊することがわかるはずです。

例えば、熱の放出を担う表面積が増大した一方で、熱の産生を担う体積部分が増大しなければ熱は奪われるばかりです。

つまり、表面積と体積の熱の収支が釣り合っている時に体温は保持されているのです。

ですが、寒冷極限下ではそんなことも言っていられません。

極圏では当然のように熱が奪われていきます。

こんな特殊な環境下の中では、通常の熱収支に務めているだけでは容易に命が奪われてしまいます。

よって、命が奪われないように熱収支に着目して進化を遂げました。

それがベルクマンの法則です。

上記でも少し触れましたが、ベルクマンの法則は簡単に言ってしまうと

「寒い地域の生物は体が大きいものが多い」

ということを主張しています。

では、「体が大きい」とはどういうことか?数学的に見ていきましょう。

体の大きさを見ることは難しいことではありません。

表面積と体積について知っておけばそれだけでおっけーです!

公式としては

表面積は長さ×長さ

なのに対して

体積は長さ×長さ×長さ

です。

ここに、1cmの物体があったとすると表面積は1㎠、体積は1㎤です。

この時に表面積と体積の関係は1:1です。

では2cmの立方体ではどうでしょう?

表面積は4㎠なのに対して体積は8㎤ですよね。

この時の表面積と体積の関係は1:2です。

あら、1cm違うだけのに表面積と体積のバランスが崩れましたね

もっと、大きく見てきましょう。下図をご覧ください。

見てもらうとわかりますが、長さが増えるにつれて表面積と体積のバランスがどんどん崩れていっていることがわかるかと思います。

1cmの時点では1:1の関係だったのに不思議ですね笑

さて、熱の収支のお話を思い出してみてください。

体温を保持するためには、表面積と体積とが釣り合っていないといけませんでしたよね?

ですが、ベルクマンの法則通りに体が大きくなると表面積に対して体積が大きくなってしまい、バランスが取れなくってしまうように感じます。

しかし、極圏地域は極寒です。

当然のように熱は奪われるばかりです。

ということは、熱の放出を担う表面積は抑えつつ熱の産生を担う体積を増大していった方が有利になります。

この解決方法は簡単です。

体長を伸ばす、つまり体を大きくするだけでいいのです。

上記の図でもわかる通り、体長が大きくなるにつれて体積ばかりがどんどん肥大化していくのですから、熱の産生という点では体長の増大はとてもメリットがあることなのです。

これがベルクマンの法則が成り立つ理由なのです。

ペンギンのおしくら饅頭

極圏に住むペンギン達はもこもこふわふわな毛皮で体温を保持していますが、ブリザードが吹き荒れてくると皆で寄り集まって大きな集団を形成します。

そう、おしくらまんじゅうをするのです!!

ぎゅむぎゅむと詰め込まれたペンギン達、可愛いですよね!!

さて、突然ですが以下の図を見ていただきたい…

何人の読者が赤い棒がペンギンだと気付いただろうか…

この赤い棒をペンギンと仮定します。

嘴も目もついてますし、地表は氷なので何も問題ないはずです。

ここにA-Eの5体のペンギンがいます。今はブリザードも何も吹いてません。

だから、おしくらまんじゅうをする気もないのでしょう。

思い思いに散り散りに生活しています。

さて、この時熱の放出について考えていきます。

赤線1枠につき、熱放出量を1とすると、1個体につき7の熱放出が起きています。

(わかりづらいので赤点を加えてみました)

熱の放出は表面からしか発生しません。

A-Eの5個体がいるので、この図の中では7×5=35の熱放出が起きています。

おっと、ブリザードが来ました。

ペンギン達はあわてて身を寄せ合って、おしくらまんじゅうを始めます。

すると、どうなるでしょう?

こうなりました笑

鍵盤みたい

さて、おしくらまんじゅうの時の熱の放出はどうなるのでしょう?

外気に触れている赤枠部分を数えてみましょう。

1,2,3…11です。

おしくらまんじゅうをすると熱の総放出量は11になりました!

バラバラに散っていた場合の35と比べると約1/3まで低下!

これは大変便利!皆で集まるだけで熱放出が抑えられるのです!

実は身を寄せ合うことで表面積をぐぐっとおとして、熱の放出を妨げているのですね。

まさに生活の知恵と呼ぶにふさわしきアクションでしょう。

さて、これはベルクマンの根底を突いた行動でもあります。

どういうことか?上記の図からペンギン同士の接触部分をなくしてみればわかりやすくなります。

これがペンギンの接触部分を取り除いた、つまりおしくらまんじゅうを1つの巨大な生物として見たときの図です。

ペンギン達は散り散りになっている時は表面積と体積との関係上、ブリザードに耐えることはできません。

しかし、おしくら饅頭をして1つの巨大な生物として疑似的に振る舞うと話は別です。

巨大な生物として振る舞うことで、表面積と体積の関係を熱産生側に大きく崩壊させ、熱の放出を防いでいるのです。

これにより、ペンギン達はブリザードの中でも生き抜くことができます。

これは、ペンギン達のおしくらまんじゅうがベルクマンの法則を体現していることと同義です。

(当然のことながら)ペンギン達はベルクマンの法則は知らないでしょうが、経験則的に知っているのでしょうね。

寒くなると巨大な個として振る舞ために集まってくるのです。

ということで、今回はペンギンのおしくら饅頭をベルクマンの法則の観点から見ましたが、どうでしたでしょうか?

皆で集まって大きな生物として振る舞うなんてスイミーくらいしか知らなかったです笑

寒くなったらおしくら饅頭というのは理に適った行動なんですね。

皆も体育の日にはぎゅむぎゅむと身を寄せ合いましょう!

ではまた!

   関連記事はこちらから

http://whattodo-onlife.com/2018/11/06/post-836/

http://whattodo-onlife.com/2018/07/18/post-179/

http://whattodo-onlife.com/2018/07/06/post-120/

http://whattodo-onlife.com/2018/07/04/post-109/

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする