「他人の聞いている自分の声」と「自分で聞く自分の声」が違うのはなぜ?

「他人の聞いている自分の声」と「自分で聞く自分の声」が違うのはなぜ?

友人と一緒に撮ったムービーで自分の声がちょっとおかしい…

そんな違和感に気づいたことはありませんか?

実は普段、他人が聞いている自分の声と自分が聞いている自分の声というのは大きな乖離があります。

どちらかというとムービーで聞いている自分の声の方が“正しく”、自分で聞く自分の声はまったくあてになりません。

なぜ、このようなことが起こるのでしょうか?

ということで、今回は骨伝導という現象について見てきましょう。

音が聞こえるのはなぜ?

骨伝導の現象を説明する前にまず、音が聞こえる原理を知っておかなくてはいけません。

ふだんの生活で気にすることはあまりありませんが、音の正体は空気の振動です。

これは紙コップを使った糸電話の実験で簡単に体験できることです。

糸電話では、糸を伝った振動がコップを震わせることで生じた空気の振動が耳に入って聞こえます。

では、その音を拾った耳ではどんなことが起こっているのでしょうか?

聴覚器官である耳は実は3つの“耳”から成り立っています。

外耳

皆さんが触れることのできる耳の部分と耳の穴から続く外耳道があります。

この耳は耳介と呼ばれ、パラボラアンテナのように音を拾い集める機能を担っています。

中耳

鼓膜と耳小骨があります。

外耳道から伝わってきた音は鼓膜を震わせ、耳小骨と呼ばれる3つの骨を激しく震わせます。

耳小骨は互いが互いをサポートするような形で作られており、音を増幅させる機能を有します。

耳小骨は全身の骨の中でも最も小さい骨として有名ですが、音圧力を約30倍まで引き上げる能力を有しており、これがないと外界の音は全く聞こえません。

内耳

半規管、蝸牛、前庭があります。

音の聞こえる仕組みは蝸牛にこそ秘密があります。

増幅された音が蝸牛内部の毛を振動させることで、初めて外界の音を聴くことができるからです。

なので、音を聞くうえで一番重要なファクターは蝸牛内部の毛が振動するか否かにあることがわかります。

そこさえ振動すれば何が音源だろうがどこから伝わろうが、関係ありません。

“他人の声”と“自分の声”

声帯を通して発せられた他人の声は大気を震わせ、耳へと到達することで毛を振動させます。

つまり、他人の声は大気を媒介にして、耳まで届くのです。

反して、自分の声はどうでしょうか?

試しに自分で何か喋ってみてください。

はい、聞こえると思います。

では、両耳で耳をふさいでまた喋ってみてください。

どうですか?耳をふさいだことで聞こえなくなりましたか?

きっとなってないはずです。

それもそのはずです。自分の声は大気の振動以外であなたの耳に届いているからです。

それが今回、説明する骨伝導という現象です。

上記でも触れた通り、耳にある毛さえ振動させればその媒体は何でも構いません。

そう、骨でもです。

骨は全身のあらゆるところに存在(全身で約206個)し、身体の保護や姿勢の保持において重要な役割を果たしています。

また、骨は中身が中空状態になっており、意外と音を反響・振動させやすい構造をしています。

この性質のために起こる現象が骨伝導です。

声帯で生じた振動は脊椎から頭蓋骨を通って、頭蓋骨から内耳へと振動をダイレクトに伝えます。

頭蓋骨から振動を受け取った蝸牛内部の毛はこれを音として認識し、その情報を脳へと送って処理させます。

よって、自分の声は耳をふさいだ状態でもよく聞こえるのです。

これに加えて通常通り、外耳から入ってきた自分の声も脳で処理します(これを気導音といいます)。

この気導音+骨伝導という2つの現象によって、「他人の聞いている自分の声」と「自分で聞く自分の声」で異なって聞こえてくるのです。

骨伝導を利用した偉人

骨伝導は気導音に頼った聴覚ではないので、外耳や中耳に障害のある人でも聞くことができます。

これを利用して現在ではさまざまな製品が世に出ています。

特に外部の騒音に妨害されずに音を聞きとることができるのは骨伝導の大きな利点で、騒音が鳴り響くコンサート会場スタッフや建設現場の従業員でも安心・安全に他人の声を聞くことができるようにと特殊なヘッドホンが開発されているという話も聞きます。

ですが、この骨伝導を利用した聴覚はもっと前からとある偉人によって開拓されていました。

それがかのベートーベンです。

彼は稀代の作曲家でしたが、20代後半において難聴を患ってしまいます。作曲家に難聴という病気は致命的なものでしたが、彼は骨伝導に光明を見出します。

なんと指揮棒を歯で噛みピアノに押し付けることで意図的に骨伝導を利用して音を聞いたのです。

彼が作曲家として名を馳せた背景には骨伝導の助けがあったのです。

ということで、今回は骨伝導という現象について見ていきました。

さて、試しに自分の声を録音して本当の声を聞いてみてください。きっとギャップがあると思います。

ですが、それを知ることはとても大事なことです。

なぜなら、他人が聞いている自分の声はその録音された声に近いからです。

普段自分が話している声量やトーン、話し方は骨伝導によって偽装・隠蔽され、身を隠しています。

実は自分はいい声を出しているつもりでも、他人からしてみればあまりいい声ではないかもしれません。

それを確かめるためにも、録音された音を聞いてみましょう。

自分の本当の声を聞くことでもしかしたら何か改善点が見つかるかもしれません。

これはプロの声優さんやプレゼン、営業、講義をする人は日常茶飯事に行っているトレーニングの一種です。何も恥ずかしいことはありません笑

歌声に妙に自信のあるジャイアン状態にならないように声には気を付けていきたいですね。

ではまた!

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