感覚器では刺激の差異や強弱をどうやって識別しているのか?【耳・目編】

感覚器では刺激の差異や強弱をどうやって識別しているのか?【耳・目編】

私達は日常生活で起こる様々な外部情報を受け取りながら日々を暮らしています。

時計をチェックする時、音楽を聴く時、料理に舌鼓をうつ時、ペンを手に取る時、アロマの香りを嗅ぐ時

私達はそれぞれ

目、耳、舌、皮膚、鼻

の感覚器を使って五感という外部情報を受容しています。

外部の情報は生の情報のままでは脳内で処理できませんので、感覚器で一旦電気信号に変える必要があります。

このために感覚器は存在しています。

さて、ではどうやって同じ刺激でも強弱や差異について識別しているのでしょうか?

わかりやすい疑問に例えれば

「音」

音の中にも音程の高低があるが、どうやって聞き分けているのか?

「味」

味の中には酸味や甘味があるが、どうやって味比べをしているのか?

「光」

可視光線の中には様々な波長があるが、どうやって色や明暗の識別をしているのか?

実はこれらは脳内で処理をしているだけでなく、感覚器の中でも異なる部位が反応し、反応部位に応じた電気信号が発生することで違いがわかるようになっています。

同じ刺激でもその強弱や差異を判別するメカニズム、気になりますよね?笑

ということで、見ていきましょう!

聴覚器:耳

聴覚器である耳は内耳内部の蝸牛器官に存在する有毛細胞が音波によって振動すると、有毛細胞がその波長と経時的な変化パターンを電気信号に変換することで周りの音を聴くことが可能になっています。

有毛細胞は蝸牛器官内部の基底膜上に約35mmに渡って存在し、その頂部には名前の通り感覚毛と呼ばれる毛が存在しています。

この毛が音によって振動すると、その振動を検知した感覚毛から電気信号が生じることで脳内で処理できる形になります。

さて、有毛細胞は音の検知を担うだけで、音の高低の検知器官ではありません。

では、どうやって音の高さを聴き比べているのでしょうか?

上記でも触れた通り、有毛細胞は35mmに渡って整然とした恰好で並んでいます。

この有毛細胞のどの部分が振動するかによって、音の高さの聴き比べをしているのです

有毛細胞が存在している基底膜は奥に行くほど幅広くなっている膜で、その膜の幅の違いから手前側と奥側では固有振動数に違いが生まれています。

固有振動数とかいう物理的な専門用語が出てきてわかりにくいですが、噛み砕いて説明するなら「基底膜は構造上、奥側では低音での共振を引き起こし、手前側は高音での共振を引き起こしやすくなっている」と理解してもらえれば十分です。

これによって、波長の高低によって基底膜の中でも異なる部位が振動するようになっています。

つまり、外部から音という情報を受け取った時

高音の場合

基底膜手前側が共振を起こしやすいので、手前側の有毛細胞が反応する

低音の場合

基底膜奥側が共振を起こしやすいので、奥側の有毛細胞が反応する

ことで

音の高さの違いを聞き分けている

のです。

有毛細胞も抜け落ちる

さて、この有毛細胞の感覚毛は髪と同じく脱落します。つまり、抜け落ちます。

感覚毛がなくなると音が聞こえづらくなるので、これを騒音性難聴と呼びます。

外部からの強烈な音、例えばライブや工事現場のような爆発音、に長時間晒されると有毛細胞がダメージを受けて脱落していきます。

数値で表すと85dB以上の音が騒音性難聴の原因になる音に該当します(引用:現代の騒音性難聴)。

騒音性難聴は日常生活の中ではなかなか自覚することのできない病気です。そういった有害な音に晒され続けるような環境にいる人は一度受診することをおすすめします。

視覚器:目

視覚器である目では外部から入ってきた可視光線を受け取った網膜が、その光情報と経時的な変化パターンを電気信号に変換することで周りの景色を見ることが可能になっています。

網膜は眼球の一番奥側に存在する薄っぺらい膜です。外部から入ってきた光は角膜や瞳孔、水晶体を経過する中で屈折を繰り返して、網膜へと投影されます。

網膜がこの光情報を電気信号へと変換し、附属する視神経に伝達することで脳内で処理できる形になります。

さて、では目はどうやって光情報を受容しているのでしょうか?

可視光線の中には様々な波長の光(色)が存在しますし、光の強弱も識別しなくてはいけません。どうやって色と光の検知をしているのでしょうか?

それには桿体細胞と錐体細胞という2種類の細胞が関与しています。

桿体細胞

桿体細胞は網膜上に存在する視細胞の1種で光を検知する役割を担っています。

色素としてロドプシンと呼ばれる複合体を持っているのが特徴です。

このロドプシンと呼ばれる物質はオプシンとビタミンAであるレチナールの複合体で、光に対して極めて不安定であるという性質を持っています。

外部から光が入るとロドプシンは構造変化を起こし、レチナールが細胞質中に放出されます。

この時に電気信号が発生するので、桿体細胞は光を検知することができます。

光の強弱はロドプシンの構造変化数の多寡、つまり発生する電気信号の強さによってわかるようになっています。

後述する錐体細胞よりも光刺激に敏感で、その数は1.2億-1.4億と錐体細胞の500万-600万に比べて約20倍もの感度を誇ります。

この感度により、1光子単位からでも光の強弱がわかるようになっています。

錐体細胞

錐体細胞は網膜上に存在する視細胞の1種で色を検知する役割を担っています。

錐体細胞は3種類の細胞から構成されており、それぞれが赤、青、緑を検知するタンパク質に富んでいます。

これらが可視光線を受けると電気信号に変換され、脳内で相対比や割合、位置を処理することで初めて色として識別できるようになります。

錐体細胞の数は上述の通り、500万-600万と桿体細胞のそれと比べて非常に少なく光に対する感度が低いので、100光子単位でないと機能を果たすことができません。

つまり、十分な光量(明るい場所)がないと判別がききづらいので、暗所だとその機能をうまく果たすことができないのです。

桿体細胞のお陰で暗い場所でモノの形がはっきりとわかっても、錐体細胞のせいで色彩が著しく低下するのはこのためです。

(暗い場所だと暗い色しか見えないというのは経験則上わかりきったことではあるものの、こうやって改めて説明されるとドキドキさせられるものがある…のは私だけでしょうか笑)

これら桿体細胞と錐体細胞の複合的な情報が脳内で処理されることで、初めて

色の違いや光の強弱を感じる

ことができます。

色覚異常について

この錐体細胞の欠失がおこるとその色の識別は困難になり、色覚に異常が出ます。

これを色覚異常と呼びます。

錐体細胞を指示する遺伝子は伴性遺伝のルールで遺伝するので、男兄弟で色覚異常がいる読者達は自覚症状の有無に関わらず受診することをおすすめします。

どの錐体細胞が欠失するかで変わりますが、日常生活に困難をきたしたり、進路の幅を狭めたりすることも少なくないそうです。

ということで、後編の【皮膚・鼻・舌編】に続きたいと思います。

ではまた!

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