かけがえのない水資源を綺麗にする!下水処理場で活躍する小さな生き物たち

かけがえのない水資源を綺麗にする!下水処理場で活躍する小さな生き物たち

下水処理場

目的

下水処理場の目的は汚水を処理して、綺麗で清潔な水の状態にして河川に放流することを目的としています。

この背景には環境汚染問題や公害問題があります。

ヒトが使った生活排水や工場から出てきた廃水をそのまま河川に放流すると環境へのダメージが大きいです。そこで、下水処理場という汚水処理の施設でワンクッション置くことで環境への負荷を低減させます。

また、廃水を処理せずにいると街の景観が損なわれるだけでなく、ハエや蛆が集り、腐敗集が漂います。こうなると、感染症のリスクも急増します。

このように、下水処理場は私達の生活になくてはならない施設なのです。

どんな水が汚水になるのか

個人宅で言えばキッチンやトイレ、お風呂から流れる水

法人で言えば会社や工場から出てくる廃水

が下水として処理されます。また、降雨による自然水も下水処理の対象です。

下水処理のプロセス

下水処理のプロセスは以下の図を用いて解説していきましょう。

(引用:横浜市 環境創造局)

今回解説に用いる図は横浜市環境創造局のHPから引用したものですが、多くの下水処理でもこの基本的な仕組みは何ら変わりはありません。

これを代表例として見ていきましょう。

下水処理場に流れ着いた汚水は全5ステップで綺麗になって河川に放流されます。

STEP1.沈砂地

下水が最初に辿り付く場所です。

多くのゴミやホコリ、岩が含まれていますので、その中でも比較的大きな物を沈めて除去します。

STEP2.最初沈殿地

STEP1で除去できなかった比較的小さなゴミやホコリを沈めて除去します。

水の流れが早いと小さなゴミも流れていくので、STEP1より流れは緩やかになっています。

STEP3.反応タンク

下水処理場のコアとなるプロセスです。

微生物を利用して汚れを除去します。

今回はここを重点的に解説していきます。

STEP4.最終沈殿池

STEP3で生成された活性汚泥を沈ませ、上澄み液と分けます。

STEP5.接触タンク

STEP4で取ってきた上澄み液に消毒液を混ぜて、河川に放流します。

消毒液は次亜塩素酸ナトリウムを使用するのが一般的です。

反応タンクとは?

下水処理場の心臓部分となる場所です。

汚水に酸素好気性細菌を混ぜ込んで、微生物の力を借りて汚水を綺麗にします。

さらに詳しく言うなら汚水中の有機化合物が生物体内に取り込まれたり、また分解されて無機化合物になることで水が浄化されていく仕組みになっています。

私達ヒトから見たらただの汚い水でも微生物から見てみれば栄養の宝庫です。栄養豊富な環境中にいる微生物はどんどんと増殖し、数を増やします。

この微生物達は増殖すると凝集性のあるゼラチン状のフロックと呼ばれる塊を作ります。このフロックは活性汚泥とも呼ばれ、活性汚泥中にはたくさんの細菌が住み着いています。

面白いのは活性汚泥毎に小さな食物連鎖が存在していることです。

汚水中の有機化合物で増える細菌がいて、その細菌を食べるツリガネムシなどの単細胞生物がいて、その単細胞生物を食べる多細胞生物のワムシがいて…

そんな風に活性汚泥中でも命の連鎖が続いています。

また、活性汚泥中に含まれる細菌の種類と数は水質管理という面から見ても大変重要な指標で、汚水処理がうまくいっているかどうかを細菌から見ることも可能です。

ということで、活性汚泥中に含まれる細菌を少し見ていきましょう。

(活性汚泥中の細菌については他サイト様の方が資料も多く、わかりやすいので本格的に知りたい人はそちらへどうぞ♪)

反応タンクに潜む微生物の一例

ツリガネムシ

お寺の釣り鐘のような形をしているのでこの名が付けられました。

口の周りにある繊毛列によって水流を作ることで栄養を摂取しています。

柄の部分は常時、基質と固着していて刺激を受けると収縮したりします。

餌がなくなると柄を切り離して、他の場所に移動します。

エピスティリス

形から見てわかる通り、ツリガネムシの仲間です。

ツリガネムシが単独で行動するのに対して、エピスティリスは群体で行動します。

柄もフレキシブルに動くわけではなく、口だけを動かして摂食を行うのが特徴です。

アスピディスカ

卵型に似た体型をしています。

身体の前部に7本、後部に5本の棘毛を持っており、これらを器用に動かすことで活発に動き回ります。

活性汚泥への依存性が高く、活性汚泥の周辺を動き回るの大好きです。

環境適応能力が低く、個体数の減少は下水処理の環境悪化の指標の1つになります。

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パラメシウム

いわゆる、ゾウリムシのことです。

星状の放射水管や全身の繊毛などが特徴的で、よく微生物の教材としても取り上げられる有名なやつです。

と、まあ反応タンク中にはいろんな微生物がいて、下水処理場では彼らの力を借りて水を綺麗にしています。

反応タンクに関するQ&A

どのくらいの数の微生物がいるの?

活性汚泥1m中に約5,000-30,000程度だと言われています。

総数は多すぎて数え切れません。

種類や大きさは?

約300種類がいます。

大きさは1μm-1000μmまでさまざまです。

微生物はどこから来るの?

微生物の多くは土の中にいるほか、大気中にもいます。

こういった微生物が雨水と一緒に下水に流れこんできますので、これを利用します。

新しく下水処理センターを作ったり、バランスが崩れた時は他の下水処理センターからわけてもらうこともあります。

下水処理場毎に微生物の種類や数が違うのは?

下水の濃度や水質によって、微生物にとっての心地よさが異なるためです。

微生物にも好き嫌いがありますので、場所毎に種類と数が異なります。

なんで酸素を吹き込むの?

酸素を吹き込む理由は2つあります。

1.微生物が呼吸できるようにするため

2.水をかき混ぜるため

いつ微生物が汚れを食べて水をきれいにすることがわかったの?

1800年代の終わり頃から研究されていましたが、1912年にイギリスのファウラーという博士が、活性汚泥を利用して汚れた水をきれいにすることができると報告し、1918年に微生物を使った最初の下水処理場(浄化センター)がイギリスに作られました。

取り除いた活性汚泥はどうするの?

下水処理場毎に異なります。

例えばセメントの原料や建設材料の原料、肥料として用いられたり、公共交通機関を動かす燃料としての再利用が検討されているところもあります。

(引用:

福岡県下水道管理センター 下水道に関するQ&A

下水道Q&A

横浜市 環境創造局 微生物による下水の処理 微生物Q&A

北九州市上下水道局 微生物に関するQ&A)

今回は下水処理場で活躍する微生物達をクローズアップしてみましたが、どうでしたでしょうか?

下水処理場だけでなく川や海、山などが綺麗に保たれているのも微生物の力によるものです。

例えば腐肉を分解するもの、落ち葉を分解するもの、糞を分解するもの…役割は細菌によって異なるが、彼らのお陰で自然環境はクリーンな状態を保つことができます。

下水処理場はこれを人工的に再現したものに過ぎません。自然環境下ではもっとダイナミックに洗浄機能が働いています。

微生物と聞くと汚いと思われがちですが、私達の綺麗で清潔な生活を支えているのは他ならぬ微生物達です。

忘れないように生きていきたいですね。

ではまた!

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