なぜ植物は緑色をしているのか?緑色光を使わないワケ

なぜ植物は緑色をしているのか?緑色光を使わないワケ

前回は海藻の色の多様性について触れましたが、今回は逆になぜ陸上植物は緑色ばかりなのかを書いていきたいと思います。

海藻と同様に陸上植物の体色も光合成をより効率よく行えるように進化を重ねてきたはずです。しかし、たどり着いたのは緑の単色だけです。

物理を少し齧ったことのある人間であれば不思議に思うはずです。

光エネルギーをムダなく全部吸収した方がいいんだから、結果として黒色になるのでは?

光エネルギーの中で一番エネルギーが高いのって緑色じゃなかったっけ?なんで緑色を使わないんだろう?

とか。

物理を全く知らない私でも進化の果ての画一性には昔から疑問に感じていました。そもそも多様性という面から見ても進化のゴール点が皆同じというのは結構異常なことです。

きっと緑色を積極的に吸収する草木は強い選択圧の下で淘汰されたんでしょうね。

ということで、今回は陸上植物がなぜ緑色をしているのか書いていきたいと思います。

なぜ緑色なのか

「なぜ緑色をしているのか?」

この疑問に答えるのは簡単です。

陸上植物が光合成をするのに葉緑体という細胞が必要であることは皆さん知っておられるかと思います。

ただ、葉緑体だけでは光合成を行うことはできません。

実は葉緑体の中に含まれるクロロフィルと呼ばれる物質が光エネルギーをキャッチするアンテナの役割を果たしており、このクロロフィルによってキャッチされた光エネルギーを化学エネルギーに変換させることで光合成を行います。

ただ、このクロロフィルも光エネルギーの全てを利用することはできないみたいで、450nm(青色)と700nm(赤色)の光の波長しか利用できません。

よって、残りの波長の色である緑色が吸収されずに反射されることによって、植物が緑色に見えるのです。

なぜ緑色光を使わないのか

では、なぜ陸上植物は皆クロロフィルしか使っていないのでしょうか?

太陽光の中で最もエネルギーが高いのは緑色なのだから、緑色を使った方が効率がいいのでは?

実はこの問いのアンサーは以下のサイトでまとめられています。

どうして植物は緑色光を使わないのか?

日本植物生理学会の公式HP上で東京大学・理学部の先生が答えてくれています。これ以上ない程に的確すぎる問答で、横やりを入れるスキがありません。

ただ、いかんせんわかりづらいです。

私は大学生時代に生物を齧っていたので「なるほど」とはなりましたが、一般人が見ても「???」となることは間違いないです。

ということで、ちょっとこのアンサーをもう少し自己流に噛み砕いて説明したいと思います。

上記で「クロロフィルは青色光と赤色光の波長を最も吸収する」と書きましたが、緑色の光を全く吸収しないわけではありません。吸収効率は低いものの、一応クロロフィルは緑色光も吸収して光合成に役立てています。

そして、この緑色光の吸収効率の低さが逆に光合成に役立っています。

さて、葉の光合成組織は柵状組織と海綿状組織に分化しています。

(引用:日照条件とモチノキ)

画像からもわかると思いますが、柵状組織は表皮と接着しており、整然として並んでいるのに対して、海綿状組織は不定形で配置もバラバラです。

この2つの組織は太陽光を最大限に捕獲できるようにこういった形をしています。

つまり、葉にあたった太陽光は表面がつるつるしているので屈折率が低いので、そのまま葉の内部に入っていきます。しかし、入った太陽光はでこぼこして屈折率の高い海綿状組織に遭遇することで葉の内部で何度も屈折し、葉の内部を行ったり来たりします。

すると、葉の内部を行ったり来たりしている内に太陽光は何度もクロロフィルと遭遇します。こうなると、いくら緑色光の吸収効率の低いクロロフィルでも何度も緑色光と遭遇することでその大部分を光合成に使うことができるようになります。

これは一度葉緑体に遭遇しただけでそのほとんどが吸収されてしまう青色光や赤色光に対しては効果を発揮しませんが、吸収効率の低い緑色光では大変役に立つ手法です。

話を太陽光から葉緑体に変えますが、葉緑体には光飽和と呼ばれる「それ以上光を受け取っても光合成には使えないよ」っていう限界点があります(使えなかった光エネルギーは熱エネルギーとして発散されます)。

クロロフィルは青色光と赤色光をよく吸収するので、葉の表面では赤色光と青色光だけで光飽和に達してしまいます。

しかし、葉の内部はどうでしょうか?

赤色光と青色光は葉の表面でそのほとんどが吸収されるのに対して、緑色光は吸収されないので葉の内部まで侵入して何度も反射します。

すると、葉の内部にある葉緑体は光飽和に達していないので、その侵入してきた緑色光を積極的に使用することが可能になります。

つまり

葉の表面では赤色光や青色光を

葉の内部では緑色光を

使うことで光合成を最大限に行うことができるのです。

これは緑色光の吸収効率の低いクロロフィルを使うことで実現していることで、もしもクロロフィルが全ての波長を光合成に使うことができるようになったら葉の表面が光飽和に達すだけで、葉の内部の葉緑体は活用できないことになってしまいます。

このように逆説的ではありますが、植物は緑色光の吸収効率の低いクロロフィルを「わざと」使うことによって、緑色光を最大限に活用しているのです。

たぶんこの解説であっているはずです笑

植物は動物に比べて動きが少ないので、面白みがなく、専攻する人間も多くはないように感じられます。しかし、動けないからこそ備わったユニークな生存戦略に惹かれる人間もいます。

これを機に植物について興味をもっていただけたら幸いです。

ではまた!

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